【中央大学連携】未来人材の育成と産学官連携が描く地方活性の可能性—経済学部 堀内准教授インタビュー
はじめに
少子高齢化や人手不足、事業承継、DXへの対応など、地域の中小企業が抱える課題は複雑化しています。
こうした課題の解決には、企業だけでなく、自治体、大学、金融機関、支援機関がそれぞれの強みを持ち寄ることが重要という考え方が強まっています。
そんな中で、現在フォーバルと中央大学経済学部の堀内ゼミでは、学生が地域企業や中小企業支援の現場に触れる機会として、専門の講義やインターンシップを実施中。
今回は、未来人材の育成や地域課題の解決、民間企業・自治体・金融機関・大学(産官学金)連携において、大学がどのような役割を果たすのか、中央大学経済学部の堀内英次准教授に伺いました。
この記事を読むと分かること
- 堀内ゼミが重視する実践的な学びと、学生に生まれた変化
- 多摩・八王子地域の企業が抱える課題と、地域連携の可能性
- 産学官連携によって、地域の人材と産業を育てるためのポイント
プロフィール
中央大学経済学部准教授。幅広い社会課題を対象に、データに基づく実態把握と、定量的・定性的な要因分析を通じた研究・教育を行っている。ゼミでは、文献や現場から得た情報をもとに課題の構造を捉え、学生同士の議論を通じて解決策を考える実践的な学びを重視。変化の激しい社会において、自ら課題を発見し、新たな価値を生み出せる人材の育成を目指している。
1.多摩・八王子の地域課題はなにか
——多摩エリアや八王子市周辺の地域企業には、どのような課題があると感じていますか。
堀内准教授:
多摩・八王子地域には、電気・精密機械などの高度な技術基盤があります。また、40校以上の大学が集積する、有数の学園都市でもあります。
しかし、地域経済を牽引してきた大規模工場の撤退などにより、従来の取引基盤を再構築することが急務となっています。
さらに、物価高や経営者の高齢化といった全国的な課題も重なり、地域のポテンシャルを活かしたDXや新分野への戦略的投資が停滞しがちです。豊富な大学の「知的資源」と中小企業の「技術力」をいかに融合させ、地域発の高付加価値産業を創出するかが、多摩・八王子地域における重要な課題だと感じています。
2.ただ正解を覚えるだけではなく、自ら価値を生み出せる人材へ
——堀内ゼミでは、学生教育においてどのようなことを重視していますか。
堀内准教授:
ゼミの目標は、幅広い社会課題に対し、データに基づく客観的な実態把握と、定量的・定性的な要因分析を通じて、主体的に探究する力を養うことです。
文献や現場から得た情報をもとに正確に実態を捉え、課題の構造を論理的に解き明かした上で、仲間との議論を通じて解決策を練り上げる経験を重視しています。こうした実践的な学びを通じ、変化の激しい社会において自ら価値を創造できる人材を育てたいと考えています。
3.学生が経済の現場に触れることで、学びが実社会につながる
——今回、フォーバルとの連携による授業を取り入れた理由を教えてください。
堀内准教授:
今回フォーバル様と連携したのは、学生が経済の現場に触れながら学ぶ機会を広げるためです。中小企業支援の実務に精通しており、実際のコンサルティング手法を学べる点に大きな価値があります。
また、コンサルタントの方々と長期間企業課題に取り組むことで、社会人としての姿勢や仕事の進め方を具体的に理解できることも貴重です。
さらに、行政とも連携しながら地域課題に向き合う産学官の取り組みは、学生が経済学を実社会に応用する力を育むうえで有意義な学びとなっています。
4.中小企業にこそ、客観的な「可視化」と継続的な「伴走」が必要
——フォーバルの「企業ドクター育成」や「可視化伴走支援」には、どのような価値を感じていますか。
※企業ドクターとは・・中小企業・小規模事業者の経営課題を発見し、解決に向けて伴走する支援人材です。
堀内准教授:
フォーバル様の「可視化伴走支援」や「企業ドクター育成」は、地域企業にとって極めて価値が高い取り組みです。リソース不足の中小企業は、DXなど専門的な領域において、自社の課題すら把握できていないのが実態です。だからこそ、専門家が客観的に課題を「可視化」し、実装まで「伴走」する体制は貴重です。
この実践的なノウハウは、企業の経営改善に繋がるだけでなく、産学連携を通じて次世代を担う学生にとっても非常に価値ある学びの機会になっていると実感しています。
5.現場を体感することで、将来必要な能力が具体的になる
——ゼミを通じて、学生にはどのような変化がありましたか。
堀内准教授:
「社会人基礎力」を単なる知識としてではなく、実践的なスキルとして実感できたことが大きな変化です。中小企業の経営陣や現場の方々、そして伴走支援のプロであるフォーバル様が現場の課題に向き合う姿に直接触れたことで、学生自身が「将来どのような能力を身につけるべきか」の解像度が確実に高まりました。
リアルなビジネスの現場を体感したことで、今後の学習に対する視座や主体性が引き上げられたと実感しています。
6.実践的な活動を、確かな学びにつなげるために
——企業ドクター育成やフォーバルとの連携を進める上で、難しさを感じている点はありますか。
堀内准教授:
連携を進める上での課題は大きく3点です。
1つ目は、学内の規定上、平日の企業訪問が難しいことです。2つ目は、興味が変化しやすい「学生の多様なキャリア観」とこの活動をどう結びつけるかです。3つ目は、活動を確かな学びとするための仕組みです。伴走支援を確かな学びにつなげるためには財務や業務フロー等の前提知識が重要なため、今後はゼミでの事前学習を強化し、連携活動へスムーズに接続できる仕組みを整える予定です。
7.中小企業の「技術力」と大学の「知的資源」を結ぶ
——今後、フォーバルや産学官連携に、どのようなことを期待していますか。
堀内准教授:
フォーバル様の伴走ノウハウを媒介に、中小企業の「技術力」と大学の「知的資源」が融合し、地域発のDXや新分野開拓が加速することを期待しています。官との連携も深めることで、一過性の支援にとどまらない、地域経済を持続的に活性化させる強固なネットワークへと発展することを望みます。
8.多摩・八王子地域全体で、次世代の産業と人材を育てる
——最後に、地域企業や産官学金の関係者に向けて、この取り組みを通じて伝えたいことを教えてください。
堀内准教授:
少子高齢化、人手不足、事業承継、そしてインフレ。これら地域の中小企業が直面する構造的な課題は、もはや単独の機関で解決できるものではなく、「産官学」の強固な連携が不可欠です。この連携において、地域社会は若者にとって実践的で貴重な学びの場となります。同時に、我々大学と学生が持つ「客観的な分析力」や「若い感性」は、地域企業の変化を促す強力な『触媒』になり得ます。多摩・八王子地域全体で、次世代の産業と人材を共に育てるエコシステムを創り上げていければと願います。
まとめ
今回の取り組みは、学生の学びと地域企業の成長を別々に考えるのではなく、地域の中で循環させていく試みです。学生は企業の現場に触れることで、分析力や対話力、課題解決力を実践的に身につけます。一方、地域企業にとっては、大学の客観的な視点や学生の柔軟な発想が、自社の課題や可能性を捉え直すきっかけになります。
その間をつなぐのが、フォーバルの企業ドクター育成と可視化伴走支援です。企業の課題を整理し、大学や行政、支援機関の力を結びつけることで、産学官連携は一過性の交流ではなく、地域課題を継続的に解決する仕組みへと発展していきます。こうした連携の積み重ねが、多摩・八王子地域で次世代の人材と産業をともに育てる基盤になっていくことが期待されます。
協力大学の紹介
中央大学
中央大学は、東京都八王子市に多摩キャンパスを置く総合大学です。今回の取り組みでは、中央大学経済学部の堀内ゼミとフォーバルが連携し、学生が中小企業支援や地域経済の現場について学ぶ講義やインターンシップを実施しています。教室での学びと実社会の課題を結びつけることで、学生の主体性や分析力を育み、地域企業や地域経済に貢献できる未来人材の育成を目指しています。