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産官学金連携

【西武信用金庫連携】融資だけでは届かない経営課題に、金融機関はどう向き合うか

西武信用金庫×フォーバルの伴走支援の最前線

2024年6月、フォーバルと西武信用金庫様は、中小企業のGX(グリーントランスフォーメーション)をさらに促進するための業務提携を行いました。
その取り組みは今、環境支援の枠を超え、地域中小企業の経営課題に正面から向き合う伴走支援へと広がりを見せています。

金融機関が「コーディネーター」として地域企業との橋渡し役を担い、外部専門機関が財務・営業・IT・人材など多角的な視点から経営全体を可視化することで、漠然と抱えていた課題が数字として浮き彫りになります。その結果、経営者の意思決定が変わり、現場の動きが変わる
——そうした事例が、実際に生まれ始めています。

地域の中小企業支援において、金融機関と外部専門機関の連携はどんな可能性を持つのか。
西武信用金庫 事業支援部 副部長の簗瀬様に、その現場の様子と率直なお話を伺いました。

 

この記事を読むとわかること

・地域の中小企業が抱える「売上・利益」と「人材」の課題
・金融機関が専門機関と連携して伴走支援を行う意義
・可視化伴走支援と産官学金連携が地域にもたらす変化

 

インタビュー先プロフィール

西武信用金庫様
1969年設立。東京都(島しょ地域を除く)をはじめ、埼玉県や神奈川県の一部を営業地域としています。
「人間主義=人がすべて」を基本理念とし、協同組合としてパーパスに「人に地域に未来に“やさしい”金融機関」を掲げ、地域の中小企業支援や創業支援に積極的に取り組んでいます。

簗瀬 様(西武信用金庫 事業支援部 副部長)

事業支援部にて副部長を務め、地域中小企業の経営課題解決を専門とする。ビジネスマッチングや外部機関との連携を通じた伴走支援を推進し、お客さまの黒字化・利益率向上を最重要の目的とした支援を担う。

 


1. 地域の中小企業が今まさに直面している「2つの壁」とは

中小企業を支援する現場では、今、何が起きているのか。西武信用金庫の事業支援部で日々、地域企業の経営課題と向き合う簗瀬様に、現状についてお話をお伺いしました。

インタビュアー:
「地域の中小企業さんが抱えている経営課題の中で、特に多いと感じている課題にはどのようなものがありますか。」

簗瀬様:
「大きく二つあると思っています。一つは、販路開拓や売上・利益の拡大です。外部環境による中東情勢の影響や物価高もあり、こうしたご相談は引き続き多い印象です。
もう一つは、人手不足や定着の問題です。採用してもすぐに離職してしまうといった、いわゆる『人にまつわる』ものですね。
DXや事業承継のご相談もありますが、よく伺うと人手不足から派生していることが多く、デジタルツールを導入しても使いこなせる人材がいない、というのがその一例です。多くの課題が人の問題に行き着くことが多いですね。」

インタビュアー:
「売上に対する課題と、人に対する課題が二大テーマということですね。」

簗瀬様:
「そうですね、足元でのご相談件数も多いですし、今後も大きく変わることはないのではないかと感じています。」

「売上・利益」と「人材」——この二つは、地域や業種を問わず、中小企業経営者の多くが直面し続けるテーマです。外部環境の変化が加速する今、この課題への対応スピードが企業の明暗を分けつつあります。

2. 融資だけじゃない。西武信用金庫が「コーディネーター」に徹する理由

現代社会において金融機関に求められる役割は「融資」だけではありません。西武信用金庫様では、その姿勢を「コーディネート」という言葉で明確に定義しています。

インタビュアー:
「事業支援部として、二つの課題に対してどのように寄り添い、解決策を提示されているのでしょうか。」

簗瀬様:
「一つは、案件ベースでのフォーバルさまのようなビジネスマッチング先の事業者さまや、地域の中小企業診断士をはじめとした専門家の方々と連携して、いわゆる『伴走支援』という形で課題解決にあたる方法です。
もう一つは、新たな出会いや機会の創出としての展示会等への出展支援です。当金庫自身が主催することも多く、そこでのPRや販促及びお客さま同士の受発注につながるご支援をしています。
また、セミナーを通じて情報提供やニーズを掘り起こし、案件につなげていくといったことも行っています。」

インタビュアー:
「金融機関としての役割の幅が広がっているような状況なのでしょうか。」

簗瀬様:
「そうですね。融資という金融機関本来の役割は当然ありますが、当金庫の職員は『営業』ではなく『コーディネーター』という位置づけにしています。お客さま同士、あるいはお客さまと専門家、ビジネスマッチング先をつなぐのが私たちの役割です。私たちだけではなく、専門家や関連機関の皆さまと一緒に支援していくことを実施しています。」

コーディネーターという役割定義は、現代の地域金融機関が進むべき方向を端的に示しています。異なる課題に対して、適切な専門家を当てられるかどうか。——それがいま問われています。

3. 本当のニーズはどこにある? マッチング支援の核心とは

ただ、課題に沿った専門家を紹介するといっても、そのコーディネートは簡単なことではありません。顧客の「本当のニーズ」をいかに正確に把握するか。これは金融機関だけでなく、支援者全員に共通する課題です。

インタビュアー:
「マッチングの難しさは、どのようなところにあると感じていらっしゃいますか。」

簗瀬様:
「例えば『補助金を使いたい』というご相談は多いのですが、どの補助金を活用して、どの設備を導入し、どの業務を効率化したいのか、つまりは、表面的な要望ではなく、その奥にある『本当にやりたいことや目的』が何なのかを、正しく捉えられるかが重要だと感じています。
同じ課題でも、そのニーズは大きく変わってきますから、どの連携先さまがどんな支援を行えるかという情報を、しっかり捉えることが重要になります。」

表面上の相談内容と、その奥にある本質的なニーズ。この2つを正確に把握することが、支援の質を大きく左右します。
適切なヒアリングと信頼関係の構築こそが、良いマッチング支援のスタートを切ることに繋がっているのです。

4. 新たな「包括支援」という強み

これまで数多くの外部機関と連携してきた西武信用金庫様が、フォーバルとの連携に感じた独自の価値とは何だったのか。

インタビュアー:
「フォーバルとの連携によって、地域企業の支援のあり方に変化はありましたでしょうか。」

簗瀬様:
「支援の選択肢の幅が大きく広がったことが、一番の変化です。特にフォーバルさまは、当金庫と同じように伴走型の中小企業支援に強い想いを持っていらっしゃると感じています。
現場に丁寧に向き合って対応していただけますし、支援の分野も非常に幅広い。そのおかげで、当金庫の支援メニューを大きく拡充することができました。」

インタビュアー:
「これまではどのような専門家との連携がありましたか?」

簗瀬様:
「地域の士業の方との連携は数多くあります。その中でも中小企業診断士の方々は多くいらっしゃいます。税理士、社労士、弁護士、弁理士など、あらゆる分野の士業の方と連携しています。
それぞれの分野に特化したスペシャリストであることが士業の方の強みですが、フォーバルさまの強みは、「黒字化支援」という軸で経営全体を包括的に見ていただける点だと思っています。
財務やITなど個別の支援にとどまることなく、幅広い改善提案をいただけるのは非常にありがたいと感じています。」

5. 数字で見えた、経営の地図とは。可視化伴走支援が生んだ変化

フォーバルが提供する「可視化伴走支援」は、財務数値だけでなく、業務フローや経営リソースも含めて企業全体を可視化し、課題を特定・改善していくアプローチです。
金融機関の立場から、この支援にどのような価値を見出しているのかを伺いました。

インタビュアー:
「金融機関の立場から見て、可視化伴走支援にどのような価値を感じていらっしゃいますか。」

簗瀬様:
「課題が定量的に浮き彫りになる点が、大きな価値だと思っています。
これまでは何となく課題があるという曖昧な状態だったものが、フォーバルさまの可視化伴走支援によって、商品やサービスごとの粗利の問題など、どこに課題があるのかが具体的に見えてきます。
タイミングによっては資金ニーズへの対応が必要な局面も出てくると思いますが、課題のありかが明確になることは、私たちにとっても非常に価値があると感じています。」

インタビュアー:
「実際に支援を受けているお客様からの声を聞かれることはありますか。」

簗瀬様:
「実際に、フォーバルさまと策定した『西武GXトライアルプラン(※1)』でお客さまをご訪問いただいたことがきっかけで、ヒアリングや可視化を通じて、フォーカスすべき課題が販路拡大・営業力強化であることが見えてきました。
担当の方に継続的に対応いただき、WebマーケティングやOJT形式で現場の営業担当者一人ひとりに営業トークやターゲティングをレクチャーしてもらったことで、現場の意識や士気が高まったというお声を伺っています。営業部門が一体となって目標に向かって取り組み、成果を共有し合うといった変化もあったようです。
会社全体の視点から経営を見てもらえるという点を、経営者の方からも高く評価いただいています。」

(※1:西武GXトライアルプラン:GXの基礎セミナーから、研修、排出量算定など、6か月間にわたって脱炭素化の伴走支援を行う。)

どんぶり勘定から、根拠ある課題設定へ。この転換が、経営者の意思決定を変え、現場の動きに変化をもたらしはじめています。可視化された課題は、経営者、伴走支援者、金融機関にとって共通の「地図」になっています。

6. 「西武信用金庫が自信を持っておすすめできる」——信頼をつなぐ紹介の力

外部専門機関への相談に、心理的なハードルを感じる経営者は少なくありません。そのハードルを下げる上で、金融機関という存在はどんな役割を担っているのでしょうか。

インタビュアー:
「今後、地域の経営者様に対して、外部専門機関を活用することの意義をどのように伝えていきたいですか。」

簗瀬様:
「西武信用金庫と連携しているという関係性があることで、『当金庫が自信を持ってご紹介できる外部専門機関です』という形でご紹介できます。
コンサルティングなどの外部機関への相談は、中小・零細企業の方にとってハードルが高かったり、費用感やコストに見合った成果物等の不透明さを感じられたりということもあるかもしれません。
そこで私たちが間に入り、責任を持ってご紹介することで、選択肢が大きく広がります。西武信用金庫に相談していただければ、さまざまな連携先・専門機関をご紹介できます。私たちにとっても支援の手法が増え、お客さまにとっても経営の中での選択肢が広がる。そこに意義があると考えています。」

「信頼の連鎖」とも言えるこの仕組みは、経営者が一人で抱え込まずに済む環境を生み出していました。地域金融機関が持つ「顔の見える関係性」は、中小企業経営を手助けするための大きな役割を担っています。

7. 採用・定着・地域活性化——産官学金連携が描く次の一手

将来に渡って最も重要といえる人材の確保と定着は、中小企業だけでなく地域全体の課題です。西武信用金庫では、大学連携や情報開示を通じた取り組みも進んでいます。

インタビュアー:
「金融機関と大学、そして自治体と各地域の民間企業が連携していくことに対して、どんな期待や意義があるとお考えですか。」

簗瀬様:
「各地域の自治体ごとに行政課題や産業政策が異なりますから、それぞれの地域で、中小企業の課題を自治体側がしっかりと捉え、そこに金融機関やフォーバルさまのような民間企業が連携して支援できればと思います。
大学については、地域の若い世代が集まる場ですから、地域の中小企業に魅力を感じてもらい、若い人材が地元企業に興味を持ってくれるような施策が実現できれば、地元での採用・定着につながっていくのではと思います。そうなれば、地域全体がすごく元気になるのではないかと思っています。」

インタビュアー:
「地元で働きたいという方は、実際どの程度いらっしゃるのでしょうか。」

簗瀬様:
「社会や地元の役に立ちたいという思いを持った若い方は、以前より増えているとも聞いております。信用金庫はまさにそうした存在で、生まれ育った地域に根ざした身近な金融機関として活動しています。
西武信用金庫も現在はほぼ地元採用が中心になってきておりますし、地元志向は確実に高まっているのではと感じています。
また当金庫の場合は、働きやすさに纏わる様々な数値も公開しており、こうした情報を透明性高く発信しております。」

(西武信用金庫の年間活動・庫内情報が整理された「Cooperative Report(協同組合の取組み)」)

 

このような先進的な取り組みや地元志向への流れが、地域の中小企業へと波及していくことは、地域活性化において極めて重要な意味を持ちます。

簗瀬様:
「そのためにも、当金庫とフォーバルさまが中小企業を元気にして、採用・定着を後押しできるように積極的に取り組んでいきたいと思っています。」

8. 黒字化を「一丁目一番地」に。地域金融機関が今、最も必要とすること

インタビュアー:
「最後に、地域全体の中小企業を支えていく上で、今後必要になってくることを教えてください。」

簗瀬様:
「お客さまの売上増加や黒字化支援・利益率の向上が、西武信用金庫の事業支援活動での『一丁目一番地』だと思っています。それを実現するためには、より丁寧なコミュニケーションを取ることが欠かせません。
中東情勢のような外部環境の変化が続く中で、スピーディーに対応するためにも、地域の金融機関として、これまで以上に丁寧なコミュニケーションを心がけていくことが、今最も必要なことだと考えています。
世の中の変化は速いですから、先回りした対応も行っていきたい。そうした対応ができる地域の金融機関でありたいと思っています。」

地域金融機関が「コーディネーター」として専門機関と連携し、企業の課題を可視化しながら伴走する——その実践が、地域の中小企業の黒字化と、地域全体の活性化に繋がっています。

まとめ

今回のインタビューで浮かび上がったのは、「課題を正確に見える化すること」の重要性です。

漠然とした不安を抱えたまま経営を続けるのではなく、課題を定量化し、優先順位をつけて動く。その「見える化」を軸に、金融機関・外部支援機関・専門家が同じベクトルで動くとき、企業の意思決定や現場の行動に、具体的な変化が生まれていきます。

経営課題を一人で抱え込まず、信頼できる相談先を持つこと。それが、変化の激しい時代において、経営者が次の一歩を踏み出すための重要な選択肢となります。

 

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今回取材にご協力いただいた金融機関さま

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フォーバルの可視化伴走支援について
フォーバルでは、「企業ドクター」が経営全体を包括的に診断・可視化し、財務・業務・営業・ITなど多角的な視点から改善を伴走する「可視化伴走支援」を提供しています。金融機関や自治体との連携を通じた企業支援にご関心のある方は、お気軽にご相談ください。
 
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