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産官学金連携

【三条信用金庫×フォーバル】人口流出・事業承継・赤字改善にどう向き合う。三条市の企業を強くする信用金庫の役割とは

 

この記事を読むとわかること
  • 三条信用金庫が、地域企業の経営課題にどう向き合っているか
  • 事業承継・DX・販路拡大など、ものづくり企業を取り巻く課題
  • フォーバルとの連携により、地域支援の可能性がどう広がるか

地域企業の成長を支える、これからの金融機関の役割とは

今回のテーマは、「地域企業のかかりつけ医として、ものづくりのまちを支える信用金庫の本業支援」です。

現在の日本は、地方の人口減少や若者の都市流出によって、人手不足、地方経済の停滞が起きており、赤字経営の増加や事業承継が困難、といった様々な課題が浮き彫りになっています。

この対策として期待されているのが、DX・デジタル化です。人手不足の解消や、経営の効率・省力化による経営の黒字化に期待が持たれています。しかし、どのように推進したらいいか分からない、リソースがないという中小零細事業者が多いのも事実です。

こういった複雑化した経営課題がある中で、金融機関には単なる金融支援だけでなく、事業承継、DX、販路拡大、人材領域まで踏み込んだ役割が期待されています。地域企業が次の成長へ踏み出すために、金融機関はどのような役割を果たすのでしょうか。

三条信用金庫様とフォーバルの連携による取り組みを通じて、これからの地域支援のあり方を探ります。

三条信用金庫様について

三条信用金庫様は、新潟県三条市を中心に、地域企業や地域住民を支える地域金融機関です。三条市を含む燕三条地域は、金属加工をはじめとするものづくり産業が集積する地域として知られています。

同金庫では、融資などの金融支援に加え、経営改善、事業承継、M&A、DX推進、販路拡大、地域産業文化の発信など、幅広い支援に取り組んでいます。

  • 燕三条地域のものづくりを国内外に発信する産業観光イベント「工場の祭典」への特別協賛や、職員による運営協力、東京・上野での「燕三条の逸品 – 匠の技と暮らしの名品フェア」の主催など、地域製造業のブランド価値向上にも力を注いでいます。

今回は、三条信用金庫の長谷川宗克常務理事と、営業統括部コンサルティング担当の和田賢汰様にお話を伺いました。

人口流出と企業課題の複雑化

地域企業を取り巻く環境は、以前にも増して複雑になっています。

人口流出、後継者不足、人材不足、デジタル化への対応、販路拡大——どれか一つを解決すればよい、という状況ではありません。

特に地方のものづくり地域では、若い世代が進学や就職を機に都市部へ出ていく傾向が見られます。一方で、家業を継ぐために戻ってくる人や、一度外に出たからこそ地域の魅力に気づく人もいるようです。

1.地域に企業が残り、雇用が生まれることが、まちの力になる

インタビュア:
「地域企業や地域経済に対して、三条信用金庫様はどのような役割を果たされているのでしょうか。」

和田様:
「簡潔に申し上げると、地域を盛り上げることが信用金庫の使命だと感じています。金融支援によって、この地域にある企業や、地域に住む個人の方たちの生活基盤を支えることもそうですし、市と連携して地域を盛り上げるイベントに取り組むこともあります。
地域にある企業が強くならないと、そこに雇用も生まれません。雇用が生まれなければ、住民も増えにくくなります。そう考えると、企業の事業活動を強くしていくことこそが、地域を支えるうえで欠かせないのではないでしょうか。」

インタビュア:
「企業から求められる支援の内容も、変わってきているのでしょうか。」

和田様:
「そうですね。課題はかなり複雑化していると感じます。課題Aがあるから解決策Bを提供すればよい、というものではなくなってきています。課題Aを解決するために、BもCもDも必要になる。ただ、解決策を用意すれば必ず効果が出るとも限りません。だからこそ、私たちがハブとなり、提携先や専門機関も含めて課題解決へつなげていく必要があると考えています。」

企業課題の複雑化に対して、地域金融機関に求められる役割は変化しています。資金面の支援だけでなく、経営課題を整理し、必要な専門家や支援機関につなぐことが重要になっています。

三条信用金庫が進める地域企業支援

三条信用金庫様の支援は、個社ごとの経営課題に向き合う支援と、地域全体の活力を高める支援の両面で展開されています。

一社一社の経営改善を支援するだけでなく、地域ブランドの発信、企業同士のネットワークづくり、産官学金連携など、地域全体を強くする取り組みも進めているのです。

2.ものづくり文化を守り、次につなぐ

インタビュア:
「三条信用金庫様として、特に大切にされている支援領域はありますか。」

長谷川常務理事:
「この地域には、ものづくりのお客様、製造業の方が多くいらっしゃいます。信用金庫として、その文化をしっかり信じて守っていくことが大切だと考えています。
中小企業の皆様にはいろいろな課題があります。私たちは金融サービスだけではなく、まず本業をしっかり支援すること、ものづくりを発信していくことも役割だと捉えています。」

インタビュア:
「地域のものづくりを発信する取り組みもされているのですね。」

長谷川常務理事:
「そうですね。地域の魅力を知ってもらい、ものづくりに関心を持ってもらうことも大切だと思います。地域全体で発信していける可能性を秘めたまちだと感じています。」

三条信用金庫様は、「工場の祭典」(※ 燕三条のものづくり現場を体感できるイベント)への特別協賛・職員の運営協力、東京での地域製品展示などを通じて、ものづくり文化の発信も後押ししています。これは単なるPRではなく、地域企業のブランド価値向上、来訪者増加、商談機会の創出にもつながる取り組みです。

企業の課題解決のために取り組んでいること

地域企業が事業を続け、成長していくためには、複数の課題に同時に向き合う必要があります。

三条信用金庫様が特に重視しているテーマの一つが、事業承継です。地域中小企業では後継者不足が大きな課題であり、技術、設備、雇用をどう次世代へつなぐかが問われています。

またDXも重要なテーマです。生産性向上、品質管理、受発注の効率化など、ものづくり企業の競争力を高めるうえで、デジタル化への対応は避けて通れません。

3.後継者不足、DX、人材。課題はつながっている

インタビュア:
「事業承継やDXについては、地域企業の中でも大きな課題になっているのでしょうか。」

長谷川常務理事:
「事業承継は大きな課題です。地域の企業でも後継者が決まっていない、あるいははっきりしていないというケースが多くあります。人材の問題もありますし、デジタル人材も今後不足していくだろうと感じています。
企業をDX化によって変革していくためには、人材というテーマが必ず出てきます。経営者が前向きな企業では、若い人に任せながら組織内で取り組みを広げていくケースも見られます。」

インタビュア:
「DXへの意識づけ自体が難しいこともあるのでしょうか。」

長谷川常務理事:
「そうですね。規模の小さい企業様も多いですから、いきなりITやDXと言われても、なかなか自分ごとにしにくい面はあると思います。だからこそ、どのようなテーマで進めていくかが大事になってきます。」

三条信用金庫様では、専門機関と連携したDX認定取得支援にも取り組んでいるほか、廃業防止や成長支援のため、新潟県内の信用金庫との事業承継ネットワーク「N-Links」(※1)による連携も行っています。

企業価値の評価から、候補企業の探索、専門機関との連携などを通じて、地域企業の事業継続と競争力強化を後押しする取り組みが進んでいます。

(※1) N-Links:新潟県内の各信用金庫および信金中央金庫などが連携し、地域企業の円滑な事業承継やM&Aを支援するために発足した枠組み

まず相談できる存在であること

企業が抱える悩みは、最初から整理されているとは限りません。「何に困っているのか」「どこに相談すればよいのか」がわからない場合もあります。

だからこそ、日頃から企業を見ている信用金庫が、最初に相談を受け止める存在になることに価値があるのです。例えるなら、心配があればすぐ相談できる「かかりつけ医」のような存在であり、必要に応じて専門家や支援機関につなぐ。その連携にこそ、地域の金融機関ならではの強みが発揮されます。

4.課題を聞き、必要な先へつなぐ

インタビュア:
「実際に企業と接する中で、相談先が見つからず悩まれているケースもあるのでしょうか。」

和田様:
「はい。こういう課題はどこに相談したらいいのだろう、というのがわからないお客様はいらっしゃいます。たとえば専門の窓口があっても、その存在を知らないケースもあります。
そういった課題を一旦お聞きして、三条信用金庫がどこかにつなぐ。私たち単体ですべてを解決できるわけではありませんが、つなぐこともまた、金融機関の現場に立つ人間としての重要な仕事だと思っています。」

インタビュア:
「企業様の課題を聞き、必要な先へつなぐという意味では、身近な相談役のような存在でもあるのでしょうか。」

和田様:
「そうですね。フォーバル様が提唱されているように、連携する人たちはみんなドクター(※2)であるべきだと思います。地域のドクター、企業のドクターがいて、私たちは地域のかかりつけ医のような存在です。専門医の方々とも連携しながら、地域や企業を支えていければと考えています。」

(※2)企業ドクターとは:
フォーバルが提唱する企業ドクターとは、企業の経営課題を発見し、解決に向けて伴走する支援人材です。財務改善、デジタル領域、専門家連携などを組み合わせ、診断~実行支援のサイクルを担います。

長谷川常務理事:
「日頃から企業を見ているからこそ、感じられることがあります。的確に見極めて、適切なアドバイスができる存在であり続けたいですね。」

専門的な支援に進む前に、まず状態を聞き、整理し、必要な先へ橋渡しする。——三条信用金庫様が大切にしているのは、そうした相談の入口としての信頼です。

「地域のかかりつけ医」という表現は、その役割を端的に物語っています。

5.フォーバルとの連携で広がる本業支援

三条信用金庫様がフォーバルと連携する背景には、企業支援の領域が広がっているという事情があります。

従来の金融機関が把握できる数字の情報に加えて、現場の業務、組織、人材、デジタル化、営業活動など、本業に踏み込んだ支援が求められる場面が増えているのです。

三条信用金庫様が目指す「身近な相談窓口(地域のかかりつけ医)」としての役割と、フォーバルが推進する「経営課題に伴走する企業ドクター」の視点は深く共鳴しています。専門的な解決策の提供だけでなく、ともに企業に寄り添う「伴走者」として連携を深めています。

数字だけでは見えにくい課題に向き合う

インタビュア:
「フォーバルとの連携では、どのような取り組みを進めていきたいとお考えですか。」

長谷川常務理事:
「まずは、収益性の改善が重要だと考えています。私たちは数字で捉えている部分がありますが、フォーバルさんには、私たちが見えていない、見えにくい分野でしっかりアドバイスや支援をいただければと思っています。
そこから脱却した先にも、また次の時代の変化がやってきます。新しい技術や投資に対応していくには、企業の体力が必要です。そこに乗っていける力をつけていただくための知恵をいただければと願っています。」

和田様:
「企業を強くしていくというところだと思います。赤字から抜け出すための支援と、より強くなるための支援では、角度が少し違います。今後、成果が出てきた時に、その支援の仕方を横展開していければと考えています。」

フォーバルとの連携は、単に外部サービスを紹介することではありません。地域企業の課題を整理し、経営改善から成長支援へと段階的につなげていくためのパートナーシップなのです。

6.強い企業を増やし、強い地域をつくる

三条信用金庫様が見据えているのは、個社支援の先にある「地域全体の強さ」です。

企業が強くなれば、雇用が生まれます。雇用があれば、人が地域に住み続ける理由になる。さらに企業同士の連携や地域間のビジネスマッチングが進めば、地域全体の可能性もいっそう広がっていきます。

企業同士の交流や販路拡大にもつなげたい

インタビュア:
「強い地域をつくるために、今後どのような連携に期待されていますか。」

和田様:
「強い企業がこの地域に増えていった結果、その先に御社とどのような支援ができるのか。そこが、さらに地域として強くなっていくために大切だと思っています。
たとえば、企業同士の交流やビジネスマッチングなどもできるとありがたいです。強い地域であれば、他の地域から見ても安心して連携しやすくなるはずですから。」

インタビュア:
「販路拡大を望む企業は多いのでしょうか。」

和田様:
「多いと思います。販路拡大は企業にとって常に課題ですし、日常的に向き合い続けるテーマだと感じています。そういったところにも手当てできるようにしたいですね。」

個社の経営改善から、地域内外のネットワーク形成へ。三条信用金庫様は、企業を一社ずつ支えるだけでなく、地域全体の接点や可能性を広げる役割も担おうとしています。

産官学金の連携により、地域企業への支援が地域全体の活力へとつながっていく。

7.連携は、地域を強くするための手段

地域支援を進めるうえでは、自治体、大学、金融機関、民間企業などが、それぞれの役割を持って連携することが重要です。

ただし、連携は「名前を並べること」ではありません。実際にどのような相乗効果を生み、地域企業や住民に還元できるか。それが今問われています。

インタビュア:
「自治体、大学、金融機関、民間企業が連携することには、どのような意義があるとお考えですか。」

長谷川常務理事:
「これは地域を強くするための連携だと考えています。人が定着するには雇用が必要ですし、雇用のためには企業が強くなければなりません。
それぞれの立場で地域をつくっていくことが大事です。私たちは、それを一つにまとめるような役割を、しっかり果たしていかなければならないと考えています。」

和田様:
「連携することで生み出される相乗効果が見えてこないと、連携するだけで終わってしまいます。機会を持つことで、どのような連携ができるのか見えてくることもあると思います。」

地域の情報格差をなくし、必要な支援が必要な企業へ届く状態をつくる——そのためには、金融機関がハブとなり、自治体、大学、民間企業、専門機関をつないでいく、そんな役割が求められています。

8・地域企業へのメッセージ

最後に、経営課題を抱える地域企業の経営者に向けて、和田様からメッセージをいただきました。

まずは、どんなことでも相談してほしい

インタビュア:
「経営課題を抱えている地域企業の経営者の皆様へ、メッセージをお願いします。」

和田様:
「この地域にある企業を支えたいという気持ちは、職員みんなが持っていると思います。
『これを相談したら、何か金融支援が受けられなくなるのではないか』といった心配はせずに、何でもご相談いただけるのが一番です。私たちとしては、頼られることが一番嬉しいですね。
頼られたことに対して、きちんと答えられるように日々努力しています。課題や悩みがあれば、いつでもご相談ください。」

地域企業にとって、相談先があることは大きな安心材料です。三条信用金庫様は、金融支援だけでなく、経営課題を整理し、必要な支援につなぐ身近な存在であり続けようとしています。

さいごに

三条信用金庫様の取り組みから見えてくるのは、地域金融機関の役割が大きく広がっているという事実です。

融資を行うだけではなく、企業の状態を見極め、相談を受け止める。そして、必要な専門家や民間企業につなぐ。その取り組みが、個社支援を地域全体の活力へとつなげていく。

特にものづくり企業にとって、事業承継、DX、人材、販路拡大は、どれも将来の競争力を左右する重要なテーマです。

三条信用金庫様は、地域の「かかりつけ医」として、企業の課題に伴走しながら、燕三条地域のものづくりを次世代へつなごうとしています。

地域企業の課題は、一つだけで完結しないことが増えています。売上や利益の改善、事業承継、人材、DX、販路拡大など、複数のテーマが重なっている場合こそ、現状を整理し、優先順位をつけることが重要です。

たとえば、次のようなお悩みはありませんか。

  • 「収益性を改善したいが、どこから手をつければよいかわからない」
  • 「DXやデジタル化に取り組みたいが、自社に必要なことが整理できていない」
  • 「後継者、販路、人材など、将来に向けた課題を相談できる相手がほしい」

地域に根ざした課題は、日頃から企業を見ている金融機関に相談することで、整理しやすくなる場合があります。三条信用金庫様は、企業にとって身近な相談相手であり、必要に応じて専門家や支援機関へつなぐ役割も担っています。

フォーバルでは、中小企業の経営課題を整理し、改善に向けた実行支援まで伴走しています。

「何から始めればよいかわからない」
「社内だけでは課題の優先順位を決めきれない」
「金融機関や支援機関と連携しながら、実行まで進めたい」

そう感じたときは、まずは身近な金融機関、またはフォーバルへご相談ください。課題を一緒に整理し、次の一歩につながる支援をご提案します。

今回、取材にご協力いただいた機関

三条信用金庫様

 

#DX化 #事業承継 #産官学金 #金融機関インタビュー